「中国語は発音に始まり、発音に終わる」ということがよく言われますが、それだけ、中国語の発音は、日本人にとっては、難しいということでしょう。
以下、所謂「ピンイン(拼音)」と呼ばれる、中国語の発音について、紹介してみます。
中国語の発音 拼音(ピンイン)とは?
中国語というのは、原則としては、一つの漢字に、一つの音が対応しています。(たまに、二つの読み方をするもの(多音字/duoyinzi)もあります)
中国語の音は、通常、拼音(pin yin)と呼ばれる記号で表記されます。拼音は、以下の三つの部分で成り立っています。
①韵母(母音)yunmu
②声母(子音)shengmu
③声调(四声)shengdiao
例えば「马(mǎ)」(うま)であれば、韵母(母音)が「a」 声母(子音)が「m」 声调(四声)は「第3声」という具合です。
以下、この三つの部分に分けて説明します。
1 韵母(母音)
韵母(母音)は、さらに、単母音「a e i u o ü」と、それの組み合わせである複母音、鼻母音で構成されます。
①単母音
単母音「a o e i u ü」は、日本語の「あいうえお」に相当する音です。
ただ、単純にローマ字読みすると、通じないこともあるので、まずは、ネイティブの発音を真似るようにしてみてください。発音のコツとしては、日本語のあいうえおより、口の開け具合や尖らせ具合を、オーバーにするとそれらしく聞こえるはずです。
「a」「o」 日本語の「あ」「お」より、気持ち大きめに発声。
「e」 日本語の「え」と全く異なる。中国語独特の音。
「i」 単母音の時は、とりあえず「い」でいいが、組み合わせにより音が違ってくる。例えば「四 si」はシーではなく、スーと聞こえるはず。
「u」 口を尖らせて、突き出すように。
「ü」 これも日本語に無い音。
②複母音
単母音を組み合わせたもので13個あります。
例えば、「国 guo グゥオ」と「狗 gou ゴウ」、「牛 niu ニウ」と「女 nü ニュー」等、似たような言葉をセットにして、区別しながらやるといいでしょう。
③鼻母音
上段が-nで終わるもの、下段が-ngで終わるもの
日本人にとって、-nで終わる単語と-ngで終わる単語を聴き比べることは、非常に難しいです。
例えば「分(fen)」はフェンに聞こえますが、「風(feng)」はフォンに近い発音に聞こえるはずです。なので、最後に、gがつく時、つかない時で、セットで聴き比べる練習をしてみるとよいと思います。
ちなみに、日本語の「ん」で終わるものは、中国語は「-n」で終わり、 日本語の「う」「い」で終わるものは中国語は「-ng」で終わるという法則があります。
「ん」で終わるもの ⇒ 「-n」
关系(かんけい)guan xi
「う」「い」で終わるもの ⇒ 「-ng」
东京(とうきょう)dong jing
朋友(ほうゆう) peng you
2 声母(子音)
声母(子音)は全部で20個以上あり、以下のようなグループに分けられます。グループごとに、発声法が同じなので、先ずはグループを意識することが大切です。(名称は、特に覚えなくともよいです。)
また、難しく考えすぎずに、まずはネイティブの音を耳で聞いて、それを真似ることが肝心です。あと、自分の勝手な思い込みで、発音練習をしていると、変な癖がついてしまいますので、できれば、ネイティブの講師に、矯正してもらいながらやるのがベストです。
両唇音「b p m 」唇歯音「f」
舌尖音「d t n l」
舌根音「g k h」
舌面音「j q x」
そり舌音「zh ch sh r」
舌歯音「z c s」
「y w」
〇両唇音「b p m」〇唇歯音「f」
〇舌尖音「d t n l」
舌先で軽く発音するようにします。
〇舌根音「g k h 」
日本語の「が か は」とだいぶ違います。喉をつめるようにして発音するのが特徴です。
〇舌面音「j q x」
「j q x」は日本語の「ジ チ シ」に近い音です。下のそり舌音と区別できるようにしておくことが大切です。
〇そり舌音「zh ch sh 」
もしかすると、このそり舌音が、日本人には一番、難しいかもしれません。
例えば「日本人(ri4 ben3 ren2)」で、この「r」が二回も出てきますが、日本人は、自分のことを日本人と言うだけで一苦労です。
一般的に、日本人は、この、そり舌音「zh ch sh r」と舌面音「j q x l」が区別がつきにくいです。
「zh」と「j」、「ch」と「q」、「sh」と「x」、「r」と「l」について、区別できるようにしておきたいところです。
具体的には「张(zhang)」と「将(jiang)」、「出(chu)」と「去(qu)」など、セットで繰り返し練習するといいでしょう。
そり舌音は難しいので、一度にマスターしようとせず、時間をあけて、何回もやってみるといいでしょう。ちなみに、南方中国人も、これが苦手な人も多く「是不是」を「shi bu shi(シー・ブ・シー)」ではなく「スー・ブ・スー」で代用したりしています。
〇舌歯音「z c s」
〇YとWについて「y w」
中国語で「い」と発音する場合、「i」を単独で扱わず、必ず「yi」とセットで表記します。
有気音と無気音の区別
子音に関しては、上記のように口の形で分ける方法のほか、息の出し方で分ける方法があり、
息を強く吐き出す有気音(p t k q ch c)と、息を弱く吐き出す無気音(b d g j zh z)の区別があります。
例えば、日本人にとって、「b(無)」と「p(有)」、「d(無)」と「t(有)」、「j(無)」と「q(有)」は、口の形は同じですが、息の吐き出し方が違います。
あと、「b」は「ボ」、「d」は「ダ」と読みたいところですが、中国語の有気音は、日本語の濁音(だくおん)ではないので、注意してください。
頭でやろうとせず、中国人ネイティブのマネをすることを心がけてください。
3 声调(四声)
発音の中でも、一番、重要かつ、やっかいなのは、所謂「声調(四声)」かもしれません。
声調というのは、音の上げ下げのことで、中国語には4つの声調があることから、四声と呼ばれています。中国語は、この音の高低によって、単語を区別するので、非常に重要になります。
第一声(高→高) とにかく終始、高い。中国語っぽい音。
第二声(中→高) 日本人が、一番、自然に出しやすい音。
第三声(低→高) 二声との区別が難しいかも。
第四声(高→低) 「さあ、行きましょう」の「さあ」の音。カラスが「カア、カア」鳴くの「カア」の音と同じ
第一声とか第四声とかは、日本人が出すのは、恥ずかしいような感じがすると思います。また、第二声と第三声は、日本人には区別が難しいはずです。
ちなみに、声調記号は、以下のような感じで、母音の上に小さく書き添えます。ただし、ネット上で声調記号を表記するのが’難しいので、簡易的にa1 a2 a3 a4と、数字を書き添えることもあります。
では、具体的に「ma」という音を見ていきましょう。同じ音でも、声調が違うだけで、漢字と意味が変わってきます。
第一声なら「妈(お母さん)」
第二声なら「麻(麻烦の麻)」
第三声なら「马(うま)」
第四声なら「骂(ののしる)」
ちなみに、中国語は、発音の高低で意味を区別するので、母音や子音は、多少間違っても通じますが、四声が間違っていると、全く通じないことが多いです。
また「买(mai3 買う)」「卖(mai4 売る)」のように、同じ音なのに、声調が違うと、意味が真逆になってしまうものすらあります。
轻声
中国語には、上記の四声の他、声調が無い音「轻声(qingsheng)」が存在します。
文字通り、軽く付け加えるような音になります。例えば、妈妈 (ma1 ma) 前の「ma」は第一声ですが、後ろの「ma」は轻声になります。
その他 特殊な音
アル化音
いわゆる、巻き舌のことです。北方由来の音です。
例えば、「儿子(erzi)」とか、必ず、この音を使うものだけ、マスターするようにしておけばいいでしょう。
「一点儿」が使いにくければ、「一点」を使っておけばいいでしょう。